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ウォーターマンネン

「ウォーターマンネン」とは、明治時代に日本で活躍したオランダの水利技術者集団です。1872年から1903年にかけて、特に洪水制御、灌漑、河川管理などの分野で日本の治水インフラの発展に大きく貢献しました。彼らの活躍のおかげで、地理·気候条件による課題を克服しながら、日本の経済成長を支える近代治水インフラの基礎が築かれました。

Anthonie Rouwenhorst Mulder

生涯: 1848 - 1901

出身地: ライデン

アントニー·ローウェンホルスト·ムルデルは、1879年から1890年にかけて、日本のインフラ近代化に貢献した数多くの治水事業に携わりました。当時最も多くの業績を残した技術者の 1 人であった彼は、当初は全国で河川の改良に注力していましたが、有名なのは各地の港湾改良事業における貢献で、特に三角西港(熊本県宇城市)は最も成功した事業として知られています。

Cornelis Johannes van Doorn 

生涯: 1837 - 1906

出身地: ハル

コルネリス·ヨハネス·ファン·ドールンは1872年に来日し、8年間日本に滞在しました。彼の先駆的な技術によって、日本の水路は航行可能で、洪水の危険を避けることができ、経済活動に活用できるものであると証明しました。彼の最大の功績は、安積疏水開拓で、周辺の干潟に灌漑し、農業に適した肥沃な土地を開拓しました。この事業により伝説的な存在となったファン·ドールン。現在この地には彼の銅像が建てられており、地域の子どもたちは今でも学校で彼の功績について学んでいます。

George Arnold Escher 

生涯: 1843 - 1939

出身地: デン・ハーグ

ジョージ·エッシャーは、肥沃な農業用地を支えるための灌漑·排水システム開発の専門家として活躍しました。エッシャーはヨハニス·デ·レイケとともに1873年に来日し、5 年間の滞在中、全国各地のさまざまな治水事業に貢献したほか、自国から多くの技師仲間を日本に呼び寄せ、土木技術を伝えました。ちなみに彼は有名なオランダ人芸術家 M.C.エッシャーの父親でもあります。

Isaac Anne Lindo

生涯: 1848 - 1941

出身地: アーネム

アイザック·リンドは日本で働いた最初の、そして最年少の専門家の一人です。コルネリス·ファン·ドールンの招待を受けて、リンドは1872年から1875年まで日本政府に雇われました。彼の仕事のひとつとして、後に日本全国​​の標高の基準となる東京湾の海水面の高さ(Tokyo Peil)の設定があります。日本滞在中、リンドはオランダにいる家族に多くの手紙を送っていました。日本での仕事や日常生活について詳細に記した手紙からは、若きリンドにとって日本での生活は必ずしもいいものではなかった様子も読み取れます。

Johannis de Rijke 

生涯: 1842 - 1913

出身地: コレインスプラート

ヨハニス·デ·レイケは、明治時代の日本の河川と港湾システムの形成に重要な人物でした。1873年から1903年までの30年間を日本で過ごしたデ·レイケは、比較的低コストで確実な治水管理の解決を実現したことで名声を築きました。最も讃えられる彼の功績は、木曽デルタのある木曽川、長良川、揖斐川の三川分流です。名古屋地域の洪水を防ぐために極めて重要な役割を果たすことになる大規模な事業でした。1897年以降は、主に中国·上海で大規模な運河事業に携わりました。

オランダ人技師団

前述の技術者に加えて、アリー・ファン・マストリクト、ディック・アルンスト、ヨハネス・ヴェスターヴィールとヨシヌス・カリス(指揮監督)、H・ホルマン(建築家)、アルフォンス・ティッセン、ヨハン・ファン・ゲント、そして後にアドリアン・フォルカーとピーテル・ヤンセン(技師)を含む、その他大勢のオランダ人専門家たちが来日し、長期に渡り日本国内の治水改良事業に貢献しました。

Civil engineering has shaped urban form and planning in Japan for centuries.
For long, the country has been threatened by natural hazards such as flooding,
typhoons, earthquakes and tsunamis — with engineering traditionally
providing the necessary defences.

During the Meiji era, the Japanese government invited Dutch hydraulic engineers
('watermannen') to help improve water infrastructure. Their innovative solutions
exemplified international collaboration during Japan's critical modernisation
period and underscores the enduring bond between both nations.

Initiated by Field Records, Waterworks covers over 50 Dutch waterworks developed
across Japan during the Meiji era. Navigate around the map and click on sites' names
to learn about their development — often accompanied by visual or sonic impressions.

長い間、台風、地震、津波などの自然災害に脅かされてきた日本。土木工学は従来より災害防御の
手段として、何世紀にもわたり日本の都市形態と都市計画を形成してきました。明治時代、日本政
府はオランダの水利技術者(「ウォーターマンネン」)を招き、国内の上水道インフラの改善に協力
してもらいました。オランダ人技師達が伝えた革新的な技術は、日本の近代化の重要な時期に大き
く貢献した国際協力の好例であり、両国の永続的な絆につながっています。

革新的な影響を与えたにもかかわらず、オランダ人技師による日本の治水管理への貢献は、今まで
大きく注目されていませんでした。本展示「Waterworks」は、明治時代に日本各地で開発された50
か所以上のオランダ上水道跡を展示した、フィールドレコーズ始動の日蘭共同プロジェクトです。
地図上の史跡名をクリックして、その場所の写真や音響とともに、歴史や開発当時の様子を学んで
みてみてください。